引用 P41
かくして、ネット世論にビクつき人々は自由な発言ができなくなり、企業のサイトはますますつまらなくなる。本来自由な発言の場であったはずの個人ブログも炎上を恐れ、無難な内容になっていく。
また、テレビでの発言もすぐさま抗議の電話がやってきて、さらにはネットに反映されるため、テレビコメンテーターは以前にも増して無害なことしか言わなくなった。
「派遣切り」の話が出たら、「政府は無策だ」「総理は苦しんでいる人の気持ちがわかっていない」「大企業はもっとやさしくならなければダメだ」と強者を叩く発言をしておき、全面的に弱者をフォローしておけばとりあえずクレームは減る。
ここで、「もともと派遣ってそういう立場って分かっているでしょ?」「正社員になった人は過去に頑張って今の地位を得ているんですよ」「45歳で貯金ゼロってどういうことよ?」などと言うことは許されない。
この話題のときは、眉間にシワを寄せて、「今やらなくてはいけないのは、一刻も早く、この方々に仕事と住む家を提供することです」「企業の内部留保の金額が相当あることが明らかになりましたが、そのお金を雇用維持に使うべきです」と言うのが正しい。
政府の財源や企業の事情などを考えることなく、とにかく無難なことを言っておくべし!という思考停止状態が蔓延し、既存メディアから自由な発言は失われた。その代わり、政治家や公務員のことは必要以上に叩くのである。
この「派遣切り」の時のテレビを見た友人(女性)が、「同じ年の男が『貯金がないのに解雇はひどい』とかテレビで言っていて、情けなくなった。その男は多分、飲みに行ったり、趣味にお金を使ったり、多少人生を楽しんでいたはず。派遣はいつ切られるか分からないから、きちんと貯金しておこうっていう計画性がない。派遣でいたのも貯金がないのも自分の責任なのに、会社がひどいとかあり得ない」と怒っていました。
この彼女は、嫌な部長の下で(笑)サービス残業もするし、よく働く、真面目な女性です。嫌なことがあってもずっと同じ会社で頑張っている。そういう大変な環境、会社の中で一生懸命働いている人から見たら、あの騒ぎはやはり違和感を感じるものだったと思っています。
私の周りは公務員が多いので、いつも「大変だなぁ」って思っています。確かに休日数は多そうですけど。社保庁の消えた年金のタイミングに現場ではOBさんが(還暦過ぎた男性達)国民から怒鳴られ、謝罪を求められ、本当に大変だったみたいです。実際問題作ったのはもっと上の官僚さん(そしてすでに退職)のはず。
眼の前の文句言いやすい人にクレームを言うのは、お店で高校生のアルバイトさん相手にすごんでいるのと同じくらい、いじめっこみたいで私は好きじゃないです。
ランキング参加中です。この記事が良かったらポチお願いします。
良くない?公務員かばっちゃったから?
ウェブはバカと暇人のもの 中川淳一郎 この本の評価:★★★★☆ オススメの理由:ネットは実は大したことはない、もう進化しない、人生を変えない等、ネットを絶賛する論調のなか逆説的だから。著者は『---本書では、「頭の良い人」ではなく、「普通の人」「バカ」がインターネットをどう利用しているのか?リアルな現実を、現場の視点から描写する』と表紙裏に書いています。 オススメの対象者:バカと暇人の方(と「自分は・・・」と怖くなった方)、ネット万能論に「?」と思っている方、 |