
引用 P22
ところが横浜に行って驚いた。オランダ語などひとつもない。町々に書かれていることばは、通りの名前を示す表示版も、また各外国の商店に掲げられている字も、すべて英語である。そして、残念ながら諭吉はその英語がひとつもよめなかった。また、会話に使ったオランダ語も、チンプンカンプンでまったく役に立たない。この日、諭吉は深い絶望感に陥った。今日までの勉学が全部ムダになったからである。家に戻ったが一晩中眠れなかった。「一体、いままで何を学んできたのだ!」と口惜しかった。
オランダ語だ、オランダ学だ、といって、オランダの学問だけを、国際社会に進む唯一のものに考えて積み重ねた努力が、まるっきりバカのように思えた。そして、そういう風潮を生んでいた仕組みが、日本の鎖国なのだと思った。
「おれが悪いわけではない」
諭吉はそう思った。
「日本がバカだったのだ」
とくに日本を支配してきた幕府がバカであり、その幕府を構成している武士たちがバカなのだ。「糞ッ」と腹を立てたが、諭吉はそのままへこたれなかった。「禍を転じて福にしてやる!」と思った。
彼はこの日決断した。それは、「いままで習ったオランダ語を、惜しいが全部捨てよう。そして、改めて英語を学ぼう」ということであった。すなわち、福沢諭吉のこの"決断の時"が、その後の日本の運命を大きく変えたのである。
福沢諭吉が書いた「西洋事情」や「学問のすすめ」をはじめとして、彼が出版に最も力を入れたのは「英語」の日本導入であった。これが日本の近代産業発展に大きな役割を果たしたことは、いうまでもない。
ちょっと意外な挫折です。でもその後、きちんと英語を習得したのだから、すごいです。
この福沢諭吉の姿勢で一番見習わないといけないのは、「禍を転じて福にしてやる」というところです。何か問題が起きた時に、これをプラスに変換してやるって思うのと、「あぁぁぁぁぁぁ(涙)」というのでは、全然その後が違います。(当たり前ですけど)
福沢諭吉ほどじゃなくても、私たちはいつでも「禍を福にする」ことができます。がんばろう。
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